『砂糖の世界史」

岩波ジュニア新書の『砂糖の世界史』を読んだ。今もこの記述は正しいのかなあと思いつつ、とても楽しく読めた。

 

世界システム論的に、砂糖を通じてプランテーションや奴隷、三角貿易、産業革命などが触れられる。また、砂糖が神聖視され、薬としての用法があったことなども興味深かった。トマスアクィナスが認めたおかげで砂糖を食べることは教会に罪とされなかったという論も面白い。ただ、砂糖商人には莫大な益が転がり込み、権力を握っていた様子も描写されてるのでトマスアクィナスだけの影響でもない気もするが。

 

砂糖と関連して茶や珈琲についても言及がある。まだ高級品だった時代にはステイタス・シンボルとして砂糖入りの紅茶が上流階級で流行っていたようだ。反カソリック、反スペインのクロムウェルがジャマイカの占領やイギリス東インド会社の株式会社化を行い(それまでの東インド会社は短期的な性格が強かったらしい)、貿易量が増えることで中流階級以下にも紅茶と砂糖が普及していったようだ。

 

話は珈琲に移り、コーヒーハウスが情報交換の場であったこと、最初のバブルや、政党についても触れられる。この辺りの話の流れは見事だが大人になるともうちょっと深く知りたくなって物足りない気もする。フランスとの戦争に勝ってマルティニーク島など砂糖の産地を手に入れたが、ジャマイカなど元からイギリスのものだった砂糖産地にプランテーションを持っていた関係者たちが価格の低下を懸念して政治的な働きかけで返還させた話も気になった。これに関連して関税や保護貿易についても述べられる。

 

個人的には砂糖と密接に関連づけて述べられる奴隷制度や格差の記述が興味深かった。これにはイギリス国内での階級格差もそうだし、国際的な格差も含まれる。自然と色々なことを調べたくなるという意味で、一読をお勧めできる本だと思う。