今年読んだ一番好きな論文2018 開催要項

今年読んだ一番好きな論文 アドベントカレンダー2018

 

 

実施要項

 

2018年に読んだ論文の中で、自分の中で一番インパクトのあった、面白かった論文をアドベントカレンダーに登録した日(12/1-12/25)に紹介してもらうプロジェクト

 

目的: 大学院生を勇気づけること

 

開催ページ

adventar.org

 

:決定次第随時更新していきます

最優秀賞 (アンケートによる人気紹介記事の投票)

特別賞(審査員賞)(審査員による選出・賞品の選定、括弧内は審査員)

もう「滋賀といえば琵琶湖」とは言わせないで賞(@nkjmu さん):滋賀県名産品セット(受賞者がお酒飲めるかどうかで応相談だが、近江牛+日本酒あたりを考慮中)

そんなことよりビール飲もうぜ賞(@debugordie さん):ビール(お酒飲めない方は謎のお菓子詰め合わせ)

紙の本を読みなよ賞(@shimasho さん):ジュンク堂・丸善で使えるギフトカード(honto.jpで電子書籍でもいいよ)5250円分

microbeで賞 (@Beer_yeast さん):giant microbeのぬいぐるみか何か

 

参加賞も予定

なお、審査委員には審査員特設ページにて、選考過程を共有 (google spreadsheet)して行きたいと考えています。

 

賞を支援してくださる方、募集しています。@kebabfiesta まで。

(特別賞の設立、あるいは最優秀賞・参加賞の賞品の援助)

 

  • 期間: 12/1-12/25 (期間内で1日1名の登録が可能、定員25名)
  • 募集人数:先着25名まで。
  • 終了日時: 12/26 0:00
  • 人気投票期間: 12/26-12/29 0:00
  • ランキング発表ならびに表彰: 12/29 23:00
  • 期間中の情報ハッシュタグ #今年読んだ一番好きな論文2018

 

応募資格

 

  • 大学に在籍する学生の方々(年齢、性別、twitter上での生物種を問わない。学振DC、社会人学生も可)(一昨年と異なり学部生でも可としました)
  • Twitterアカウント(鍵付きはお控えいただければ幸いです)、連絡をとれるメールアドレス、論文紹介できるメディアを利用できること (例えば、各種blogやSlide shareなどのスライド共有環境、google docs、qiitaなど、各自紹介するメディアは自由に工夫してください)。

 

応募者ルール

 

  • 募集期間にアドベントカレンダーに紹介日を登録し、紹介の日にアドベントカレンダーと、紹介記事のリンクを公開してください。
    • Twitterアカウントで、アドベントカレンダーへログイン
    • 今年読んだ一番好きな論文2018のアドベントカレンダーのページへ
    • 紹介する日を選び、登録する
    • 登録日当日に、アドベントカレンダーへログインして、論文の紹介記事へのリンクとタイトルをコメント欄に記載して、公開
    • Twitterのハッシュタグを利用して、紹介記事へのリンクとタイトルを告知してください (#今年読んだ一番好きな論文2018
  • 紹介する論文は、2000-2018年に出版 (published date) されたものとさせていただきます。
  • 紹介する論文の分野(文学、工学、医療など)、種類(査読付きか否か、プレプリントなど)は問いません。
  • 既に日本語の他のメディアで紹介された記事で論文紹介することはお控えください (実験医学、ライフサイエンス新着レビューなど)
  • 論文から図表をblogへ引用する場合は、図表を改変するなどして著作権法に觝触しないようにしてください。また、これまでの傾向からも、図示による分かりやすい解説が人気をあつめますのでオススメいたします。
  • 受賞者は、発表後に@kebabfiestaからDMをさせていただきます。従いまして、@kebabfiestaをフォローしていただきますようお願いいたします。賞品は、個人情報の取得をできるだけ回避するために、基本的にはご自宅ではなく研究室宛に送らせていただこうと考えておりますが、前回の実績ではご自宅を希望された方も多くいらっしゃいました

 

 

 

前回開催時の要項

festakebab.hatenadiary.com

 

 

追加募集

 

今年読んだ一番好きな論文2018: 大人版

 

学生だけじゃつまんないじゃないですか

大人の、大人による、大人のための今年読んだ一番面白い論文

 

参加資格 学生でない人

応募者ルール 上と同じ

 

:優秀賞のみでよいかな ゆるくやりたいです

 

Adventarリンク: 

adventar.org

後記:#今年読んだ一番好きな論文2017

というわけで、皆さま今年読んだ一番好きな論文2017に参加いただきありがとうございました!

 

https://adventar.org/calendars/2468

 

論文紹介どれも楽しく読みました。ありがとうございます。

 

発案者かつ去年まで主催者のかえるさんの代打という形でしたが、運営できてとても良かったと思います。

 

色々と思ったことを書いておきます。

 

この企画は素晴らしい

 

基本的には前回の企画をなるべく踏襲して、2017年のものも運営させていただきましたが、とても楽しいものとなりました。学生を応援したいという目標もたくさんの審査員の方のご支援で達成できました。ありがとうございます。

 

ガクモンは楽しくやりたい

 

私は正直に言って「研究はほとんどの場面でめっちゃつらい」と思っています。失敗が当たり前の世界で、昨今の事情から特に日本国内では目先の成果を求められ、かつ院生に限っては研究のみでお金を得るのも簡単ではない、という事実があります。国外に活路を求める若手研究者の方も増えているように思いますが、さもありなんと思っています。

 

でも研究は楽しくやりたいし、できれば他の学生のみなさんもそうであって欲しい、と強く願っています。そうは言っても私も人間、忙しい研究生活の日々で、そういう感情を忘れてしまうことも多々あります。

 

しかしながら、師走で忙しい中たくさんの参加者の皆さんの記事を読んで、やはり研究というのは楽しい、新しく知識を得ることは楽しい、新しい謎に直面するのは楽しい、という思いを強くしました。そういう気持ちの再確認をできて、この企画をやって良かったなと思います。

 

運営は楽してやりたい

 

この企画を長く続けたいので、運営で楽をしたいな、と思いつつやりました。かえるさんにアドバイスいただき、ルールやフォーマットも前年のものをほぼ踏襲しました。発表方法はツイッターでつぶやくのみにしました。

 

逆に参加者の皆さんに負担をかけてしまったかな?と思うフシもありますので、そこは次回できれば修正したいなと思います。(そもそも来年私が運営できるかわかりませんが…)

 

前回のノウハウがなければこの企画を最後までやり通せなかったと思っています。この場を借りてかえるさんにお礼を申し上げます。どうもありがとうございました。

 

分野が幅広くてよかった

 

分野が偏らない方がいいな、と思ってやりましたが、思ったよりもばらけたように思っています。大きな枠組みでは生物関連が参加者の方も審査員の方も多いような気がしましたが、もとの研究人口という母数から考えれば自然なように思えます。(ここらへん読者の分野を把握するため、投票フォームに投票者の分野を書いて貰えばよかったな、と思いました。)

 

記事を書くにあたって、読者の知識の前提条件を何として紹介記事を書くか、とても難しくて重要なファクターだと感じました。

 

次回もできたらいいな

 

2018年も(かえるさんが難しい場合は)運営やりたいな、と思っています(私が忙しいという可能性も大ですが…)。今回参加者の方は参加あるいはご支援、今回ご支援いただいた方は次回もご支援いただければ幸いです。どうぞよろしくお願いします!(大人版もやったら盛り上がるかな?ご意見下さい。)

世界を失わせなかった粒子を求めて(簡易版)

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ご挨拶

 

というわけで、これの最終日のための記事です。

 

adventar.org

 

カレンダーの他の記事を読んだ方、投票をお願いします!12/28まで。

 

goo.gl

 

去年もかえるさんが開催してくださり、とても楽しかったのですが、今年はなんと主催をさせていただきました。正直初めてなので運営もグダグダですが、かえるさん及びたくさんの特別賞支援者の方々にご支援いただき、楽しい企画ができたと思います。参加してくださった皆様どうもありがとうございました。

 

主催者ながら、論文紹介側としても参加させていただきました。いろいろ考えたのですがやっぱりこの企画に参加したい気持ちも強く、特に今年も良い論文をたくさん読んだので、ひとつ紹介したいなと考えました。賞を取ってやるぞ!という気概はあったんですが、よくよく考えたら他の参加者の方にたくさん賞をもらっていただきたいので、受賞資格などは放棄します。が、楽しい紹介にしたつもりなので是非是非読んでいただきたいです。

 

というわけでこれは論文紹介のテイを模した僕なりのこの分野(基礎物理学)への思い入れ・愛を書いた駄文です。(駄文を書いたらむちゃくちゃ長くなったので、読みやすさのため、簡易版にしました。本気版をいつか別記事で上げたいと思います。)

 

 

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今年はぶっちぎりでこの論文。

"Precision Measurement of the Electron's Electric Dipole Moment Using Trapped Molecular Ions"

 

journals.aps.org

 

出版されたものとほぼ同等のものが誰でも無料でarXivというサイトから読める。

 

[1704.07928] A precision measurement of the electron's electric dipole moment using trapped molecular ions

 

日本語の専門用語でいうと「トラップした分子イオンを用いた電子の電気双極子モーメント(EDM)の精密測定」といった感じか。なんのこっちゃわからんというのが普通の感想だと思うので、逐次後で説明を行う。(もしここは間違っているなどの指摘がございましたら是非連絡をください。)

 

 

 

もくじ

概要

目的:ビッグバンと反物質と母なる粒子 

手法:タブーを逆手に

結果・今後はどうなる?

 

0. 概要・まとめ

 

この論文の分野は所謂「素粒子物理学」という分野に分類できる。この世界の物質は「つぶつぶ」である素粒子からなっているが、この分野は素粒子の性質や素粒子間に働く力「相互作用」について調べる学問だ。風呂敷を広げることを恐れず言えば、この「つぶつぶ」や「相互作用」を調べることで宇宙の成り立ちにまで迫ることのできる力を持つ。

 

 

この論文内容を簡単にまとめると、

「私たちが宇宙に今も存在しているためにはまだ見つかっていない新しい素粒子があるはず、その素粒子を探すために電子の電気双極子モーメントという量の測定を試みた。今まで敬遠されていた分子イオン中の電子の電気双極子モーメントを測定するという手法を確立し、(他のグループによるイオンではない分子でなされてきた)今までの世界記録に迫る感度での測定を行った。今後の研究次第ではさらに感度の良い測定を実現し、今までにない感度で新粒子を探すことができる可能性がある。」

 といった感じだろう。

 

目的:ビッグバンと反物質と母なる粒子 

 

この世界は物質からできていて、それらは素粒子から出来ている。たとえば水を分解していくと、最終的にはそれ以上わけられないクォークと電子という素粒子がある。

 

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これら素粒子はたくさんの数がみつかっている。

 

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画像はヒッグスたん.comから(http://higgstan.com)

 

これらの粒子それぞれについて、逆の電荷を持った「反粒子」が存在する。たとえばマイナスの電荷を持った電子にはプラスの電荷を持つ陽電子がいる。また、物質と反物質もある。たとえば人類は「水素(電子と陽子)」の反物質「反水素(陽電子と反陽子)」を生成できる。重要なのは「粒子」と「反粒子」は電気的な性質以外は全く同じ性質を持つ(重さとか)、ということだ。

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そして、反粒子と粒子が出会っちゃうと、「対消滅」してしまう。つまりぶつかるとお互い別のものに変わって消えてしまう。

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対消滅をすると、基本的に元の粒子より軽い粒子が出る。まんじゅうのような「重い粒子」、たとえば陽子と反陽子ならば他の軽い粒子がいくつかわらわらと出るだけだが、最も軽い電子と陽電子が出会うと「重さのない粒子」である光子に変わってしまう。つまり粒子と反粒子を同じ箱の中に同じ数入れて、対消滅が繰り返されると、いつかは殆ど光になってしまうということだ。

 

ビッグバンと母なる粒子

ところがこれは困ったことになる。宇宙のはじめのはじめはビッグバンという現象が起きたわけだが、ビッグバンでは粒子と反粒子が同じ量だけ出来たとされている、そいつらはやがて混ざり合って、あれれ?光だけになってそもそも人類どころか物質は全て対消滅しちゃわない?という謎が浮かび上がってくる。

 

今まで見つかっている素粒子たちと、その相互作用をまとめた「素粒子標準模型」という理論では、この謎を解明出来ない。ビッグバンの後で「粒子」と「反粒子」の数の違いを作り出す(難しい言葉でこれを「CP対称性を破る」という*1)機構が必ずあるはずで、その違いによって今の宇宙に物質が存在しているはずである。標準模型では違いが出来ることはわかっているが、今知られている素粒子だけではできる違いが小さすぎて今の宇宙にこれだけたくさんの物質があることを説明しきれない

*1(C: Charge, 電荷 P: Parity, 鏡映のこと)

 

つまり、我々のまだ知らない粒子が必ずあって、それがCP対称性を破って粒子反粒子の数の違いが生まれたことで、この宇宙の中身が全て消滅することから救ったはずである。この論文はそういった「母なる粒子」を探す実験である。

 

手法:タブーを逆手に

どうやって「CP対称性を破った母なる粒子」を探すか?ということであるが、そこで分子内の電子のEDM(電気双極子)という量を感度よく測定することが精力的に行われている。

 

ポイントとしては

1. EDMという物理量はCP対称性を破る量である。

2. EDMという量は標準模型ではめちゃくちゃ小さくて今の技術では測れないはずである、つまりもし今の測定技術で測れた(0より統計的に有意に大きかった)場合、標準模型にない物理によってCP対称性が標準模型の計算よりも大きく破れている、という結論が得られる。

3. 電子のEDMという量を感度よく測るには電子に大きな電場をかけてやる必要があるが、分子のエネルギー準位をレーザーなどでうまくコントロールしてあげると、分子の中で大きな分極が生じて、それによって分子内電子に大きな電場をかけてやることができる

という三点がある。

 

欧米ではこういった分子を用いた測定が盛んで、いろいろなグループが最も良い感度で測定を行うことを目指して熾烈な国際競争が行われている。たとえばACME実験が最も有名で、冷たい分子を飛ばしながらそれにレーザーを当てることでEDMを測定している。www.electronedm.org

 

彼らが現在一番良い感度での電子EDM測定を完了させていて、その結果まだ母なる粒子は見つかっていない。ちなみに標準模型を超えるような新しい物理(新粒子を含んだ理論)もいくつか提唱されていて、有力なものは今実験が届いている感度に近い感度での測定で測ることのできるような大きな電子EDMの量を予測しているモデルもある。そういったことからいつEDMが見つかってもおかしくないというのが現状だ。

 

 

 

 

タブーを破る

 

このEDMの測定、電荷を持ったものに行わない、というのが通例であった。当然、大きな電場をかけるという操作を電気を持ったものに行えばあっというまに測定器から逃げて行ってしまう。だからわざわざ中性な分子の中にある電子をつかったり、(昔の測定だと)中性な原子を使った測定*2を行ったりして、電場をかけても電子が逃げていかないようにしている。

*2原子よりも分子の方が電場が大きくかかるので、測定感度の面からのみ議論すると、一般的には得な場合が多い

 

この論文の肝は、タブーを破って、電荷のある分子イオン(HfF+)を用いた点だ。当然普通に電場をかけると測定なんてできないままあっという間にイオンが飛んで行ってしまうので、この実験グループが行ったのは電場の向きを高速回転させながら測定する、という荒技だ。電場の向きをぐるぐる回すわけだが、1秒間に25万回回したらしい(力は正義)。それによってイオンを0.5 mm程度の円軌道に閉じ込めて、その状態で測定を行った。中性分子は一般的に一箇所にずっと止めることが難しいので、他の実験ではACMEのように冷やした分子をゆっくり飛ばしてそれにレーザーを当てていた。一方この実験はある一定の空間内に分子イオンが止まっているので、それによって測定を可能にする、という手法だ。とはいってももちろん高速回転する電場の安定性や、他の実験装置の安定性なども頑張らないとそもそも実験が成立しないので、思いついてもやる勇気と気力がすばらしい。

 

結果・今後はどうなる?

結果としてはACME実験とほぼ同じ(だが少しだけ悪い)感度での測定を達成した。ACMEと同様に「母なる粒子」を見つけることはできなかったものの、この手法でもうちょっと頑張れば(具体的にはもっとたくさんのイオンを使えるように大きなトラップに閉じ込めるらしい)、世界記録を超える感度での測定を近い未来に完了できるだろう。母なる粒子がきっと近い未来に発見されると期待したい。

 

 

今年読んだ一番好きな論文2017 開催要項

今年読んだ一番好きな論文_アドベントカレンダー2017

実施要項

 

2017年に読んだ論文の中で、自分の中で一番インパクトのあった、面白かった論文をアドベントカレンダーに登録した日(12/1-12/25)に紹介してもらうプロジェクト

 

目的: 大学院生を勇気づけること

 

開催ページ: https://adventar.org/calendars/2468

 

  1. 最優秀賞 (アンケートによる人気紹介記事の投票)
    商品: amazonギフト券(二万円分・予定)
    • 支援者: @Lizreel_spindle さん
    • 最優秀賞を支援したい方も絶賛募集しています。@kebabfiestaまでご連絡ください
  2. 特別賞(審査員による選出、括弧内は審査員の方々)

なお、審査委員には審査員特設ページにて、選考過程を共有 (google spreadsheet)して行きたいと考えています。

  • 創薬ちゃん賞 (@souyakuchan さん): プロテイン 1 kg
  • 俺のソース賞 (@OrenoSource さん: http://oreno-source.hatenablog.com) ソース各種詰め合わせ
  • えだまめなのにみかんで賞(@edamame0811 さん)蒲郡みかん🍊(5kg、ただし収穫が済み次第の発送)
  • 高山奨励賞 (@Lizreel_spindle さん)  amazonギフト券1万円分+@Lizreel_spindleさんの著書
  • ブレイクする〜賞 (@bachemis さん) 高級なお茶or紅茶orコーヒー(選択制)
  • タチコマ賞 (@antiplastic さん) お米+イクラ
  • ソーシャル創薬美少女賞 (@kubor_ さん)MYCODE:ヘルスケアhttps://mycode.jp/plans/health-care.html
  • 麦酒酵母賞 (@Beer_yeast さん) 麦酒または発酵食品、ノンアルコール飲料
  • ハッピードリームホリデー賞 (@Kd_Gn さん) 東京ディズニーリゾート・ギフトパスポート(1デイ)・ペア
  • 寿司賞(@torusengoku さん) 以下から選択。2を選んだ場合一部を寿司に使うことを推奨。1.全国共通すし券 2.VISAギフトカード
  • 実験好学賞(@girlsjamboree さん) 大晦日のコミケで頒布予定の実験好学vol.5+vol.1-4の総集編本 さらに、次のうちから好きなもの一つ<レッドブル72本・チーズ詰め合わせ・「咲-saki-」コミックス既刊分全冊>
  • そんなことよりƱ”-ʓ飲もうぜ賞(@debugordie さん)オリオンビール一箱

  • インスタントうみうし賞 カップヌードル一箱(@TaromaedaMaedat さん 12/2以降にエントリーした人対象!どしどし飛び入り参加してください!)
  • ケモインフォマティクスの若い奴らが幻の近畿大学産クエの入手を試みるのでうまく手に入ったらお贈りするで賞 (by ケモインフォマティクスの若い奴ら一同)
  • サイエンスライター賞 (@shimasho さん) ジュンク堂かhonto.jpで使えるホントポイント5000円分
  • 賞を支援してもいいよ、という審査員の方募集しています。

 

  • カエル記念参加賞 (1000円程度の図書券を検討中)
    特別賞・最優秀賞が取れなくても参加賞あり!
    前主催者のかえる (@suimye)さんが支援してくださいます!

 

  • 期間: 12/1-12/25 (期間内で1日1名の登録が可能、定員25名)
  • 募集人数:先着25名まで。
  • 終了日時: 12/26 0:00
  • 人気投票期間: 12/26-12/29 0:00
  • ランキング発表ならびに表彰: 12/29 23:00
  • 期間中の情報ハッシュタグ #今年読んだ一番好きな論文2017



応募資格

 

  • 大学に在籍する学生の方々(年齢、性別、twitter上での生物種を問わない。学振DC、社会人学生も可)(昨年と異なり学部生でも可としました)
  • Twitterアカウント(鍵付きはお控えいただければ幸いです)、連絡をとれるメールアドレス、論文紹介できるメディアを利用できること (例えば、各種blogやSlide shareなどのスライド共有環境、google docs、qiitaなど、各自紹介するメディアは自由に工夫してください)。

 

応募者ルール

 

  • 募集期間にアドベントカレンダーに紹介日を登録し、紹介の日にアドベントカレンダーと、紹介記事のリンクを公開してください。
    • Twitterアカウントで、アドベントカレンダーへログイン
    • 今年読んだ一番好きな論文2017のアドベントカレンダーのページへ
    • 紹介する日を選び、登録する
    • 登録日当日に、アドベントカレンダーへログインして、論文の紹介記事へのリンクとタイトルをコメント欄に記載して、公開
    • Twitterのハッシュタグを利用して、紹介記事へのリンクとタイトルを告知してください (#今年読んだ一番好きな論文2017
  • 紹介する論文は、2000-2017年に出版 (published date) されたものとさせていただきます。
  • 紹介する論文の分野(文学、工学、医療など)、種類(査読付きか否か、プレプリントなど)は問いません
  • 既に日本語の他のメディアで紹介された記事で論文紹介することはお控えください (実験医学、ライフサイエンス新着レビューなど)
  • 論文から図表をblogへ引用する場合は、図表を改変するなどして著作権法に觝触しないようにしてください。また、これまでの傾向からも、図示による分かりやすい解説が人気をあつめますのでオススメいたします。
  • 受賞者は、発表後に@kebabfiestaからDMをさせていただきます従いまして、@kebabfiestaをフォローしていただきますようお願いいたします。賞品は、個人情報の取得をできるだけ回避するために、基本的にはご自宅ではなく研究室宛に送らせていただこうと考えておりますが、前回の実績ではご自宅を希望された方も多くいらっしゃいました。

冷たく,厳しい事実 #今年読んだ一番ショックな論文

というわけで,選考外ですがカレンダーが空いていたのでこの記事を書いてみます.

 

宇宙物理学者が長らく用いていた仮定が間違いであったことが示されたこの論文です.

 

Statistical ortho-to-para ratio of water desorbed from ice at 10 kelvin | Science

 

ショッキング過ぎたので,英語で記事にもなっています.

phys.org

 

宇宙はみなさんご存知の通り低温なので,星間物質や彗星などにある水は氷として存在する.氷の核スピン異性体のオルソ・パラ比は,その氷の生成時の温度を反映していると長らく信じられ,観測した天体や星間物質の化学的歴史を反映しているとされてきた.これを元に現在まで宇宙観測結果の解釈・議論が進められてきた.しかしながらこれは間違いだよ,というのを指摘したのが本論文である.

 

 

1.背景

 

水のオルソ・パラ比(OPR)は常温ならば3を示すが,彗星の尾などのOPRは2-3を示していたことから,宇宙屋さんはこれが氷形成時のスピン温度の手がかりと考えていた.典型的な値2.5はスピン温度が30 Kに相当し,これが46億年前の彗星形成時の温度を示すと考えられてきた.その他の天体からもOPRが3以下のものが見つかっていた.いろいろな天体に関してこういった観測がなされてきたが,このOPRとスピン温度の関係を立証する実験はなかった.

 

2.手法・結果

 

この論文の著者らは実験室において10 Kで生成した氷から光脱離した水分子のOPRを測定した.REMPI(Resonance-Enhanced Multi-Photon Ionization)という手法を用いて得られたスペクトルをスピン温度200 K( OPR = 3 )とスピン温度10 K( OPR = 0.3 )のそれぞれの条件において計算したスペクトルと比較したところ,前者のOPR=3のものと一致した.すなわち,10 Kで作った氷からでもOPRは3であり,生成時の温度を反映していない,という結果が出たということだ.

 

氷から脱離する際に分子が一回離れてまたくっつくなどすると分子は元のOPRを忘れてしまうが,そういうことはない事が著者の脱離メカニズムの研究からわかっている."kick out"と呼ばれるもので光が一旦氷のHだけを勢い良く乖離させ,そのHが他のH2O分子を蹴り出す,という仕組みだ.

 

そもそも氷の状態では水素結合によって分子は回転を自由に行うことができない.スピン温度の議論なども回転エネルギーなどの取り扱いをガス状態と同じではいけない.こういった仮定の危うさも論文では指摘されている.

 

3. まとめ

 

OPRから氷生成時の温度を求める,という手法自体が正しくないということがこの実験から示唆された.これは他の実験の再解釈を迫るとともに,数々の天体から3より低いOPRが観測されている理由について再考を求めるものである.謎が謎を呼んでいる状態だ.氷ではなくガス状態の水分子の寄与などが指摘されている.個人的にはこの分野の今後の動向がとても楽しみである.

#今年読んだ一番好きな論文2016

0.与太噺

珠玉の論文紹介がバシバシ続く中,ひとり分野も異端で申し訳ないが,下記の三論文について書いてみる.(一番好きな論文群,ということですが・・・)

 

 

大学で科学をやったなら水素原子は陽子と電子からできている,というのは皆聞いたことがあるかもしれない.水素は私たちが目で見ている宇宙の大部分を占めている.陽子という言葉に聞きなれなくても,宇宙を構成する大事な要素(building block)として陽子は意外に身近な存在なのだ.

 

しかしながら,その陽子の大きさすら人類はよくわかっていない,というのはご存知だろうか.今回はそんなお話だ.

 

The size of proton : Nature

Proton Structure from the Measurement of 2S-2P Transition Frequencies of Muonic Hydrogen | Science

Laser spectroscopy of muonic deuterium | Science

 

どれも同じグループの論文で,彼らにはCREMAコラボレーションという名前がついている.Charge Radius Experiment with Muonic Atoms (ミュオニック原子を用いた荷電半径実験)の略である.

 

分野としては素粒子物理学という分類になると思う.世界の構成要素は小さな粒子からなっていて,それらの性質を調べることで,我々が住む宇宙の成り立ちについて調べることもできる.ノーベル賞としてニュートリノ振動が脚光を浴びたのも記憶に新しい.

 

さて,この分野の研究者たちは山手線一周分もあるような加速器(粒子を加速させる装置)を用いて粒子をぶつけ,粒子の性質やその間の相互作用の解明を目指している,というのが一般向けの説明だ.CERN(スイス・ジュネーブ)という研究所のLHCという装置で新しい粒子(ヒッグス)がみつかった,というのも記憶に新しい.これも結局は高いエネルギーを持つ粒子をぶつけて,E=mc^2(アインシュタインで有名だ)の法則より質量を持った粒子(ヒッグス)に変わったということだ.基本的に高いエネルギーを使えば今まで誰も見たことのない現象がみれる,という至極単純な図式だ(そのエネルギーをhandleするだけの努力は生半可ではないので,単純というとその道の人にシバかれるかもしれない).

 

一方,CREMAの人たちはエネルギーを上げるという方向ではない.精密測定によって新しい物理を見出して行こう,という人たちだ.彼らはPaul Scherrer Institute(通称PSI.CERNと同じくスイスにあるとのこと)の加速器を用いてこの実験を行った.とてもユニークな手法で陽子の大きさを測ったのだが・・・

 

1. イントロ・背景

 

さて,陽子の荷電半径というのはどのくらいなのだろうか.CODATAという科学技術の定数をまとめている委員会があり,そこは4年に一度ほどまとめたものをreview 論文として出している.CREMAの実験が始まるまえ,CODATA2008を見てみると,0.8768(69) fmとなっている(括弧内の数字は1標準偏差分だ).fmはフェムトメートルで,10の-15乗メートル.実感がわかない数だ.相対的な精度も0.8%で,(所属分野によっては)なんだ精度良く測られているじゃん,と思ってしまう方もいるだろう.

 

この値は基本的には水素原子の分光と,陽子に電子をぶつけてその跳ね返りを測定したいくつかの実験から算出していた.ぶつけて跳ね返りをみればなんとなく大きさはわかりそうなので,前者の分光について補足しておく.水素原子とはすなわち陽子の周りを電子がまわっているわけだが,電子のエネルギーというのは,陽子の荷電半径によって異なる.大きさが違えば陽子が電子に及ぼす影響もわずかながら変化するからだ.また,電子のエネルギー準位ごとにこの影響の程度も変化する.陽子から遠くに電子がいるときより,近くを回っているときのほうが影響は大きそうだ,というのはなんとなく察しがつくだろう(これがすぐあとで大事になってくる).

 

水素原子は身近にあり,幾つもの精密な分光結果があった.また電子と陽子の散乱実験についても結果があり,それらを元にCODATA2008は値を決めていたわけだ.

 

さて,CREMAはもっと精度よく陽子の荷電半径を測定することを考えた.水素原子はやり尽くされていたのだが,彼らは新しい手法を提案した.それがミュオニック水素原子(muonic hydrogen)の分光だ.

 

ミュオニック水素は,陽子の周りにミュオンという粒子がいる水素そっくりの原子だ.ミュオン,というのは聞きなれない名前だが,電子と同じマイナスの電荷を持つ粒子で,重さが電子よりも200倍重く,時間が経つと崩壊して電子に変わってしまうという性質以外は全て電子と同じだ.この重さ,がキーワードになってくる.電子よりも重いミュオンは陽子の近くを回る.その分陽子の荷電半径への感度が高いので,水素原子の分光よりも高精度で荷電半径を決定できる,という寸法だ.

 

2.手法

言うは易し,行うは難し.ミュオニック水素の分光は生半可なことではできない.必要なレーザーの波長は6.01 µmで,分光に必要な条件を満たすレーザーはそれまでなかったのだ.すぐ後で述べるが,たくさんミュオニック水素を作っても,そのうち1%しか分光には使えないことも実験を難しくしている.信号を見るのに多くの時間が必要であれば,その間測定系を正しくコントロールしておかなければ精度を落としてしまう.

 

測定手順を述べると,加速器で作ったミュオンを1 hPaの水素ガス標的に打ち込み,ミュオニック水素を作る.下図にミュオニック原子のエネルギー準位のうち,必要なものを描いてある.ミュオニック原子が出来た時,だいたいのミュオンはnが14という高いエネルギー準位にいる.ここから瞬時にミュオンは下のエネルギー準位に落ちていくが,ほとんどは1S状態に落ちていく.一方,2Sに落ちるものはいて,こいつだけが分光に使える.

 

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 ここで一つ難しいことは,せっかく2Sに落ちてくれた場合でも,水素ガスとぶつかって1Sにどんどん落ちていく.水素ガス標的の圧力を下げればぶつかる頻度は減るが,今度は加速器から飛んできたミュオンを標的内で止め切るのが難しくなる.このトレードオフを解決するために強度のあるパルスレーザーが必要となる.

 

ミュオンが入射した900 ns後にレーザーを打ち込む.レーザーの周波数が2S-2Pの遷移に必要なエネルギーにあっていれば,遷移が起こる.レーザーの周波数は水蒸気の吸収から較正されている.2Pに行った後は8.5 psで1Sに落ちていくが,その時に出てくるX線を図ることで,2Sから2Pに行けたのかどうか判定ができる.周波数を変えながらX線の数を数えることで,分光ができる.

 

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3.結果とその後

そして無事分光に成功し,その結果から逆算した陽子の荷電半径は0.84184(67) fmであり,CODATAの値0.8768(69) fmよりも10倍精度がよいが,値は5σほどずれている.この2010のNature論文によって大きな論争を引き起こしたCREMAは引き続き2013のScience論文において2S-2Pのその他の副準位を分光した(説明が煩雑になるため省いたが,2Sも2Pも実は小さな分裂を起こしていて,2Sの分裂のうちある一つから2Pの分裂のうちある一つまでのエネルギーを測ったのが2010年,その他の分裂の組み合わせについても測ったのが2013年論文ということ).2013年の結果では0.84087(39) fmとなり,0.05%という精度で測定したのにもかかわらずCODATAの値とは7σずれている,という結果になった.

 

この結果は「陽子の半径問題(proton radius puzzle)」として取り上げられ,未だに解決されていない.可能性としては,おおざっぱに

1.水素の実験(あるいはその実験結果を陽子の半径に直す際の理論)が間違っている

2.ミュオニック水素の実験(あるいはその理論)が間違っている

3.物理学者の知らない新しい物理がそこに潜んでいる

の3つが挙げられる.極め付けは今年の論文だ.これはミュオニック重水素(陽子と中性子の周りを電子が回っているのが重水素,そのミュオン版だ)の分光を行い,それに同位元素シフトの効果を足してやるとやはり陽子の荷電半径がわかるが,やはりCODATAの値からずれている.物理学者の楽しい謎解きはまだまだ続きそうだ.

 

4. おまけ

CREMAは最初せっかく素晴らしいレーザーと分光装置を作っても遷移がみえなかったらしい.当たり前だ,今まで正しいと思っていた陽子半径をもとにエネルギーを計算し,その辺りに遷移があるとおもって探していたのだから.世界初の実験なので遷移が見えていない状況でも何か見落としているバグで見えていないのか,それとも自分たちが正しいのか,という状況では精神的にかなりきつかったろうと思う.噂に聞いたレベルだが,バグを調べ上げて,見えなかったという博士論文を書いた人間もCREMAにはいるらしい.そういう事を考えるに,CREMAのこの仕事は素晴らしいと思う.